岐阜県瑞浪の保険会社株式会社dii【ディー】のブログ  

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日本一に挑む!
CATEGORY:スタッフ好き勝手ブログ
登山を始めて一年が経ちました。
昨年、国内第三位の奥穂高岳に登頂した時、山荘から
見たジャンダルムの雄姿に一目惚れし、いつか必ず
登ってやると心に誓いました。


ジャンと墜落機.jpg


これがジャンダルム。
フランス語で「憲兵」という意味だそうです。
なんともカッコイイ姿です。

赤く見える物体は救助ヘリ墜落時の残骸です。
現在は撤去されていますが、ここは滑落の危険が非常に高い場所として
登山者の間ではよく知られた場所です。


決意したことは良いのですが、調べるとここは西穂高岳→奥穂高岳の縦走
ルートの後半に位置し(逆の場合は前半ですが)、この縦走が国内一困難な
ルートとして紹介されていることを知ったのです・・・


こうなると、行かないという選択肢はありません!


2.jpg


独標手前の西穂山荘から奥穂高まで標高3000mの稜線縦走です。
コースタイムは10時間。
途中、水場はありません。
エスケープルートは唯一、天狗のコルからのみ存在します。

ガイドの説明抜粋です


北アルプスの縦走路の中でも一、二を争うといわれる難コースである。
充分な登山経験を積み、技術、体力、判断力を身につけた人でなければ
行くべきではない。
近年、安易な気持ちでこのルートに挑む登山者が増加し、大きな事故が
続発している。すぐれたリーダーか、プロガイドを伴うことをお薦めする。
難コースと呼ばれる所以は、山行時間が長い・エスケープルートが
天狗のコルから岳沢へ下りるルートだけである・浮石が多い・天狗岳附近
の逆層スラブは濡れていると滑りやすい・両サイドにスッパリ切れ落ちた
ヤセ尾根が多く滑落すれば致命傷等、数えあげればきりがない。
難しいが故に縦走し終えた時の達成感は他に比し難いものがあり、
“アルピニスト憧れの縦走路”といわれるのも頷ける。




登山歴1年で単独行動ですが・・・・ま、行きますか!!


西穂山荘.jpg


午前5時30分、まだ暗いうちに西穂山荘を出発!


PA050677.JPG


独標でご来光!



PA050701.JPG



人生初!
ライチョウに出会った!  感激!!
足まで毛があってかわいい。



PA050683.JPG


西穂高岳といくつものピーク。
これからこの稜線を越えていきます。
気温は氷点下です。


西穂下り1.jpg


ガスっていたので快晴時の借物の写真も出していきます。
西穂高岳の下り。 いきなり垂直降下でした。


間ノ岳全景1.jpg


間ノ岳。
頂上は狭かった!!



間ノ岳登り.jpg



逆スラブ。
岩の重なり方が逆です。
傾斜が思ったよりきついので、滑ったらひっかかりません。
そのままさようなら。



逆スラ2.jpg


続いては天狗岳。
このてっぺんから下ります。
尋常ではない高度感に緊張感が持たない。
数十mのクサリ場、浮石、落石、ナイフリッジは当たり前。
今までの岩場とは全く世界が違いました。


天狗の頭全景.jpg



天狗岳山頂。
取ったわけではありません。
落ちてました(笑



PA050732.JPG


さて、天狗のコル。
ここは唯一のエスケープルート。
行くか辞めるか???
当然行く! 
後半、まずはこの急登を一気300m!!



畳岩尾根全景.jpg


登りきると痩せ尾根が!!


コブとりつき.jpg


地獄じゃ。
ほとんどの稜線はナイフリッジ。
長野県側と岐阜県側に数百メートル切れ落ちています。

20cmの幅を外してはいけない。
下界とは違い、生きる道の方がすくないという状況。
そんな状況がこのルートの8割を占めていました。


そんな中に一人身を置いてみると、己の小ささ、無力さを痛感できます。


引き返すこともできる。
でも、引き返しても結局険しい道のり。
前に行けば、もっと恐ろしいことは分かっている。
誰もいない。 飛ばされそうに風が吹く。
考えて止まっていると、一分で手が動かなくなるほど寒い。
ネガティブな材料が溢れかえる状況をどうやって乗り越えるか。


いつもは「進んでみればわかる!」と奮起して進みますが、
今回は違いました。
頭に出てきたのは親父のことでした。


昨年、奥穂高岳から帰って、夕飯で報告をしていると親父が
「ああ、奥穂な。オレも行ったぞ。」


「えええええ?
奥穂高はキツイしそもそも親父登山なんかやってたか??」
「20代のころな。西穂高から縦走して、途中でピバーク
(野営)してなぁ。大変だったわ。」


・・・・普通に上高地から奥穂高岳へ行ったのではなく、
西穂から縦走したんだ・・・
しかもピバーグって、このルートでは無理とされていますよ。



親父には申し訳ないのですが、この時、人生最大に親父のことを凄い
と思いました。 聞けば、友人の山岳部の連中に無理やり連れられて
行ったとか。 昔から危険を危険と思わない性分の親父ですが、
当時、ルートやクサリも十分に整備されてない状況で素人が
縦走できたのは、無鉄砲な親父だったからと断言できます(笑


血は争えない。
自分も親父と同じく、このルートに立っているのだ。
親父にできてオレにできないわけがない。
縦走を達成して「大したことなかったわ」と言いたい。
妙な話ですが、これが一番のモチベーションでした(笑
それだけで疲れも忘れてグングン足が前に出ました。
永井家二代で縦走達成を目指せ!!!!


畳岩尾根の頭.jpg



↑急登を越えると、「畳岩尾根の頭」が!
ここは、マーキングが非常にわかりにくく、天空の城ならぬ天空の岩をさまよう
ジブリの主人公のごとく迷いに迷いました・・・


コブ尾根の登り.jpg


↑コブ尾根の頭。
ジャンダルムはまだか・・・
ジャンダルムはまだか・・・
何度言ったことか。
終わらない登りにうんざり!




そして!!!!




PA050752.JPG



キタ――――――――――――――――ッ!!!!!!
念願のジャンダルムです!



PA050757.JPG


アルピニストの憧れ、ジャンダルムの天使!
会いたかった!


PA050774.JPG


最高です!!!
なぜか全く疲れていない・・・
いや、緊張しすぎて疲れてるという感覚を忘れちゃったのかな??


ジャントラバース.jpg


さて、ここからがこの縦走の核心部。
まずはジャンダルムのトラバースです。


ジャン過ぎて.jpg


借物の写真ですが、夏場はたくさんの方がジャンにいらっしゃるようですね。



今回の縦走で一番怖かったのは次の写真の場所。
「ロバの耳」の下りです。


ロバ下り1.jpg



写真ではそれほど・・・に見えますが、ほとんど垂直の壁をクサリなして
急降下します。下は奈落です。
浮石も非常に多く、手がかりも極端に少ない。
手のひらでつかめるところはほとんどありません。
手にしたところが浮石だったら、岩と一緒にさようならです。
何故ここにクサリが無いのか? 
怖かったですね。
分かりやすく言えば、ビルの窓に17kgのザックを背負ってへばりつき、
下降していると言った感じですね。 風が吹くと、何者かがザックを外へ
引っ張って、落ちてゆくような気が常にしていました。




ロバ下りクサリ場.jpg



こんなクサリ場もあったりして。
でもこれだけきっかけがあれば、かなり安心。
楽しめました!


そして、最後に真打登場!!!
最後の難関は・・・



馬の背だ!!
ここはこの縦走におけるメインベントですから、下調べ(覚悟)
はできていましたが、まぁ、いい感じの高度感でしたよ〜



c0002874_14284586.jpg



ここはロープで互いに体を繋いでいくといいらしいんですが、
一人の私は何にロープを結べばいいのでしょう・・・
当然ですが、ロープの準備もしていませんし!
というわけで単身でチャレンジ!




下からパシャリ。




馬の背下から.jpg



細心の注意を払って登らないと、一発であの世行きです。
馬の背というよりは、刃物の上を登ってる感じ???
「馬の背中、こんなに狭くねぇ~!」


途中でパシャリ



img_3.jpg


てっぺんまで上り、このナイフリッジを渡って・・・・


20090928234309bcd.jpg




ついにゴー――――――ル!!
奥穂高岳です!

PA050801.JPG


やりました!!
約8時間で達成しました!



涸沢を眺めながらゆっくり山荘へ向かいます。


PA050809.JPG




山荘からは素晴らしい夕日が。


PA060818.JPG




先程登ったジャンダルム。
ちょうど一年前、この山荘からこのジャンダルムを見て、
行くと決めたんです。
感慨深く、ずっと夕日が当たるジャンダルムを見ていました。



PA060822.JPG



いろんなところで登山者の方に
「西穂奥穂縦走をしようと思ってるんですけど、ボクにできますかね?」
と聞いてきました。
縦走した人は「死ぬ気でいけば行けるよ」と言います。


この日、穂高岳山荘で食事中
「明日奥穂西穂縦走しようと思ってるんですけど、ボクに行けますかね?」
と聞かれた自分も
「死ぬ気でいけば行けますよ」
自然とそう言っていました。


自分はこの縦走で大きな大きなものを得ました。
こんなに素晴らしい世界があることを知れたこと
また一つ自分を越えられたこと


本当に素晴らしい経験でした!!!
ありがとう穂高!!!



PA060817.JPG











 
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